動作原理と主な種類半導体レーザー
半導体レーザーダイオード高効率、小型化、波長多様性を特徴とする半導体レーザーは、通信、医療、産業プロセスなどの分野における光電子技術の中核部品として広く利用されています。本稿では、半導体レーザーの動作原理と種類についてさらに詳しく解説します。これは、多くの光電子研究者にとって、レーザーの選択の参考として役立ちます。
1. 半導体レーザーの発光原理
半導体レーザーの発光原理は、半導体材料のバンド構造、電子遷移、および誘導放出に基づいています。半導体材料はバンドギャップを持つ物質の一種で、バンドギャップには価電子帯と伝導帯が含まれます。物質が基底状態にあるとき、価電子帯には電子が満たされ、伝導帯には電子が存在しません。外部から一定の電界を印加するか、電流を注入すると、一部の電子が価電子帯から伝導帯に遷移し、電子正孔対を形成します。エネルギー放出の過程で、これらの電子正孔対が外界によって刺激されると、光子、すなわちレーザーが生成されます。
2. 半導体レーザーの励起方法
半導体レーザーの励起方式には、主に電気注入型、光ポンプ型、高エネルギー電子ビーム励起型の3種類があります。
電気注入型半導体レーザー:一般的には、ガリウムヒ素(GaAs)、硫化カドミウム(CdS)、リン化インジウム(InP)、硫化亜鉛(ZnS)などの材料で作られた半導体表面接合ダイオードです。順方向バイアスに沿って電流を注入することで励起され、接合面領域で誘導放出が発生します。
光励起半導体レーザー:一般的に、N型またはP型の半導体単結晶(GaAS、InAs、InSbなど)が動作物質として使用され、レーザ他のレーザーによって放出された光は光ポンプ励起として使用されます。
高エネルギー電子ビーム励起半導体レーザー:一般的には、N型またはP型の半導体単結晶(PbS、CdS、ZhOなど)を動作物質として用い、外部から高エネルギー電子ビームを注入することで励起します。半導体レーザーデバイスの中で、より高性能で幅広い用途に使用されているのは、二重ヘテロ構造を有する電気注入型GaAsダイオードレーザーです。
3. 半導体レーザーの主な種類
半導体レーザーの活性領域は、光子生成と増幅の中心領域であり、その厚さはわずか数マイクロメートルです。内部導波路構造は、光子の横方向拡散を抑制し、エネルギー密度を高めるために利用されています(リッジ導波路や埋め込みヘテロ接合など)。レーザーはヒートシンク設計を採用し、高熱伝導率材料(銅タングステン合金など)を選択して急速な放熱を実現することで、過熱による波長ドリフトを防止します。構造と応用シナリオに基づき、半導体レーザーは以下の4つのカテゴリーに分類できます。
端面発光レーザー(EEL)
レーザーはチップ側面の劈開面から出射され、楕円形のスポット(発散角約30°×10°)を形成します。代表的な波長は、808nm(励起用)、980nm(通信用)、1550nm(光ファイバ通信用)です。高出力産業用切断、光ファイバレーザー励起光源、光通信バックボーンネットワークなどで広く利用されています。
2. 垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)
レーザーはチップ表面に対して垂直に放射され、円形かつ対称的なビーム(発散角<15°)を形成します。分布ブラッグ反射器(DBR)を内蔵しているため、外部反射器は不要です。3Dセンシング(携帯電話の顔認証など)、短距離光通信(データセンター)、LiDARなどで広く利用されています。
3. 量子カスケードレーザー(QCL)
量子井戸間の電子のカスケード遷移に基づき、反転分布を必要とせずに中赤外から遠赤外域(3~30μm)の波長をカバーします。光子はサブバンド間遷移によって生成され、ガスセンシング(CO₂検出など)、テラヘルツイメージング、環境モニタリングなどの用途に広く利用されています。
4. チューナブルレーザー
波長可変レーザーの外部共振器設計(グレーティング/プリズム/MEMSミラー)は、±50 nmの波長可変範囲、狭い線幅(<100 kHz)、高いサイドモード除去比(>50 dB)を実現しています。高密度波長分割多重(DWDM)通信、スペクトル分析、バイオメディカルイメージングなどの用途に広く使用されています。半導体レーザーは、通信用レーザーデバイス、デジタルレーザーストレージデバイス、レーザー加工装置、レーザーマーキング・包装装置、レーザー植字・印刷、レーザー医療機器、レーザー距離・コリメーション検出装置、娯楽・教育用レーザー機器・装置、レーザー部品などに広く利用されており、レーザー産業の中核部品の一つです。その幅広い用途のため、レーザーのブランドやメーカーは数多く存在します。選択にあたっては、具体的なニーズや応用分野に基づいて行う必要があります。メーカーによって用途は異なり、プロジェクトの実際の応用分野に応じてメーカーやレーザーを選択する必要があります。
投稿日時: 2025年11月5日




