アクティブインテリジェントテラヘルツ電気光学変調器の開発に成功

昨年、中国科学院合肥物理科学研究所高磁場センターの研究員である盛志高氏らの研究チームは、定常高磁場実験装置を用いた能動型インテリジェントテラヘルツ電気光学変調器を開発しました。この研究はACS Applied Materials & Interfaces誌に掲載されています。

テラヘルツ技術は優れたスペクトル特性と幅広い応用可能性を秘めているものの、テラヘルツ材料やテラヘルツ部品の開発により、その工学応用は依然として深刻な制約を受けています。中でも、外部場によるテラヘルツ波の能動的かつインテリジェントな制御は、この分野における重要な研究方向です。

テラヘルツコア部品の最先端研究方向を目指し、研究チームは二次元材料グラフェンをベースとしたテラヘルツ応力変調器[Adv. Optical Mater. 6, 1700877(2018)]、強結合酸化物をベースとしたテラヘルツ広帯域光制御変調器[ACS Appl. Mater. Inter. 12, After 48811(2020)]、フォノンベースの新型単一周波数磁気制御テラヘルツ光源[Advanced Science 9, 2103229(2021)]を発明した。機能層には電子結合酸化物二酸化バナジウム膜を選択し、多層構造設計と電子制御方式を採用。テラヘルツ透過、反射、吸収の多機能アクティブ変調を実現(図a)。結果は、透過率と吸収率に加え、反射率と反射位相も電界によって能動的に制御できることを示しており、反射率の変調度は99.9%、反射位相は約180度の変調度に達する(図b)。さらに興味深いのは、インテリジェントなテラヘルツ電気制御を実現するために、研究者らは「テラヘルツ-電気-テラヘルツ」という新たなフィードバックループを備えたデバイスを設計した点である(図c)。初期条件や外部環境の変化にかかわらず、スマートデバイスは約30秒で設定された(期待される)テラヘルツ変調値に自動的に到達することができる。

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(a) 模式図電気光学変調器VO2に基づく

(b) 印加電流による透過率、反射率、吸収率、反射位相の変化

(c) インテリジェント制御の概略図

能動的かつインテリジェントなテラヘルツの開発電気光学変調器関連電子材料に基づくこの研究は、テラヘルツインテリジェント制御の実現に向けた新たなアイデアを提供します。本研究は、国家重点研究開発計画、国家自然科学基金、および安徽省高磁場実験室指導基金の支援を受けて実施されました。


投稿日時: 2023年8月8日