指先サイズの高性能超高速レーザー

高性能超高速レーザー指先ほどの大きさ

サイエンス誌に掲載された新しい表紙記事によると、ニューヨーク市立大学の研究者らは、高性能な超高速レーザーナノフォトニクスに関するものです。この小型モードロックレーザフェムト秒間隔(1兆分の1秒)で一連の超短コヒーレント光パルスを放射します。

超高速モードロックレーザー化学反応中の分子結合の形成や切断、乱流媒質中の光の伝播など、自然界で最も速いタイムスケールの謎を解き明かすのに役立ちます。モード同期レーザーの高速性、ピークパルス強度、そして広いスペクトル範囲は、光原子時計、生物イメージング、光を用いてデータを計算・処理するコンピューターなど、多くの光子技術を可能にします。

しかし、最先端のモード同期レーザーは依然として非常に高価で、消費電力が大きく、実験室での使用に限られているデスクトップシステムです。今回の研究の目標は、これをチップサイズのシステムへと変換し、量産化して現場で運用できるようにすることです。研究者たちは、薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)という新興材料プラットフォームを用い、外部から無線周波数電気信号を印加することで、レーザーパルスを効果的に整形し、精密に制御しました。研究チームは、クラスIII-V半導体の高いレーザー利得とTFLNナノスケール光導波路の効率的なパルス整形能力を組み合わせることで、ピーク出力0.5ワットの高出力レーザーを開発しました。

今回実証されたモード同期レーザーは、指先ほどのコンパクトなサイズに加え、ポンプ電流を調整するだけで出力パルスの繰り返し周波数を200MHzという広い範囲にわたって精密に調整できるなど、従来のレーザーでは実現できない多くの特性を備えています。研究チームは、精密センシングに不可欠な、レーザーの強力な再構成機能を通じて、チップスケールで周波数安定性の高いコム光源の実現を目指しています。実用的な用途としては、携帯電話を用いた眼疾患の診断、食品や環境中の大腸菌や危険なウイルスの分析、GPSが故障または利用できない場合のナビゲーションなどが挙げられます。


投稿日時: 2024年1月30日